辞書的な意味
※Oxford Dictionary of English 2nd Edition を参考にしています。
- ある場所から別の場所へ移動する
go out to the shops
買い物に出掛ける
go back home
家に帰る - 去る、出発する
I really must go.
行かなくちゃ。 - ~するつもり、~しそう
be going to be late for work
仕事に遅れそう
be going to have a baby
赤ちゃんが生まれる - ある状態になる(特に、悪い状態)
the food is going bad
食べ物が腐りかけている
he’s gone crazy.
彼は変になっちゃった。 - 物事が進行する
How did the weekend go?
週末どうだった?
at first all went well
最初はすべてがうまくいった - 似合う
This color will go with your shirt.
この色があなたのシャツに合いそうだよ。 - 機械が動く
This car won’t go.
この車は動かん。 - 努力や資金などがそそがれる
Much money went for food.
多くのお金が食費に使われた。
go のコアの意味
go は通常日本語で「行く」と訳したり覚えたりすることが多いと思いますが、上記のとおり、この単語はたくさんの意味で使われます。
たくさんある意味をよりコンパクトに覚えられるように、ここでは go という言葉のコアを探っていきたいと思います。
ここで言うコアとは、上記にあげたたくさんの意味に共通する「意味の成分」のことです。
私は go のコアはこんな感じではないかと思っています。
go: ある地点や領域からどこか別のところへ離れる
go は主語が「ある地点や領域からどこか別のところへ離れること」を表す動詞(自動詞)と考えます。
もともとあった場所から別の場所へ移動したり、どこへ行ったかはわからぬまま見えなくなるという場合もあります。
さらに分解してこんなふうにしてみます。
- 何が離れるか: 主語
- どこから離れるか: 不明
- どこへ離れるか: 不明
- どのように離れるか:(オプション)不明
上記で「不明」となっているところは、実際にこの単語が使われる文によって変わってきます。
このことからわかるとおり、go という動詞が定めているのは「主語がある地点から離れる」ということだけで、「どこから」離れるか、「どんなふうに」離れるかは他の語句で修飾されることで明らかになります。
では、この意味を辞書的な意味に当てはめていきましょう。
1. ある場所から別の場所へ移動する
He went out to the shops.
彼は買い物に出掛けた。
- 何が離れるか: 主語=He
- どこから離れるか: 明示されていない(「彼」がそのとき存在していた場所)
- どこへ離れるか: to the shops
- どのように離れるか: 明示されていない
どこから離れるかは明示されていませんが「彼」は確実にお店に向かって「どこかから出ていった」ということがわかると思います。
She longs to go back home.
彼女は家に帰りたがっている。
- 何が離れるか: 主語=She
- どこから離れるか: 明示されていない(「彼女」が今いるところ)
- どこへ離れるか: home
- どのように離れるか: back(戻るイメージ)
「彼女」が今いるところとは離れたところにある家を思い浮かべて、「ここから家に帰りたい」と思っている様子がわかります。
このように go は主語がもともと存在するある地点とは「離れた別の場所へ」向かうことを表します。
2. 去る、出発する
I really must go.
もう行かなくちゃ。
- 何が離れるか: 主語=I
- どこから離れるか: 明示されていない(「私」が今いるところ)
- どこへ離れるか: 明示されていない(「私」が今いるところとは別の場所)
- どのように離れるか: 明示されていない
「もう行かなくてはならない」ということはすなわち「今いる場所から別のところへいなくならなければならない」ということです。
なので「去る」とか「出発する」というふうに訳されるということですね。
3. ~するつもり、~しそう
I’m going to be late for work.
仕事に遅れそうです。
- 何が離れるか: 主語=I
- どこから離れるか: 明示されていない(「遅刻」になっていない状態)
- どこへ離れるか: to be late for work
- どのように離れるか: 明示されていない
これは物理的な場所の移動というよりは、「状態の遷移」の意味合いになると思います。
- 現在の状態: まだ遅刻ではない
- 未来の状態: このまま進むと、遅刻になる
こんな感じです。
be going というふうに進行形になっているので「まだ状態が変わったわけではないが、そのうちに変わる」という様子が伝わります。
「場所から場所への移動」というコアのイメージが「ある状態から別の状態への遷移」というより抽象的な意味合いに拡張した感じです。
「~するつもり、~しそう」という意味で使われるのは進行形の場合だけであり、これを過去形などにすると違和感があります。
?I went to be late for work.
?仕事に遅れに行った
I’m going to have a baby.
赤ちゃんが生まれる。
これも同様です。
- 現在の状態: 赤ちゃんはいない(お腹の中)
- 未来の状態: 赤ちゃんが生まれる
4. ある状態になる
The food is going bad.
その食べ物は腐りかけている。
- 何が離れるか: 主語=The food
- どこから離れるか: 明示されていない(「腐っていない」状態)
- どこへ離れるか: 明示されていない(今とは違う別の状態)
- どのように離れるか: bad
“go bad” と辞書で引けば「食べ物が腐る」というふうに出てきますが、ここでは go という単語の意味に注目して考えます。
この文は The food がどこからどこへ離れるのか、あるいはどの状態からどの状態へ変わるのかが明示されていません。
しかし、go の後に bad が置かれることによって、「悪い方向へ向かっている」ということがわかります。
「腐っていない」という状態から「腐った状態」へ向かっているという構図ができています。
He’s gone crazy.(He has gone crazy.)
彼は変になっちゃった。
これも「彼」が「おかしな方向へ行ってしまった=おかしくなってしまった」という意味だと分かると思います。
「どのように離れるか」という部分が修飾で示されている go は、「あまり触れたくない悪い状態に移ってしまう」ことに使われていることが多いです。
5. 物事が進行する
How did the weekend go?
週末はどうだった?
- 何が離れるか: the weekend
- どこへ離れるか: 明示されていない(時間的に前の地点)
- どこから離れるか: 明示されていない(時間的に先の地点)
- どのように離れるか: 聞きたいところ(How)
週末の時間が「どんなふうに過ぎて(移動して)いったか」を聞く文です。
こんなふうに「時が過ぎる」という意味でも go が使われます。
逆に come は「春になる」など「時節が到来する」という意味で使われます。
Spring has come.
春が来た。
6. 似合う
This color will go with your shirt.
この色があなたのシャツに合いそうだよ。
- 何が離れるか: This color
- どこから離れるか: 明示されていない
- どこへ離れるか: 明示されていない
- どのように離れるか: with your shirt
ある色を「あなたのシャツ」に組み合わせて、それを上から下(あるいは下から上)へ眺めてみる様子を思い浮かべてみてください。
この眺めてみる動きが「移動」のイメージだとして、その「色」と「あなたのシャツ」の組み合わせが違和感なく、自然に眺められたら、それは「似合う」ということなんだと思います。
7. 機械が動く
This car won’t go
この車は動かん。
- 何が離れるか: This car
- どこから離れるか: 明示されていない
- どこへ離れるか: 明示されていない
- どのように離れるか: 明示されていない
主語が機械の場合は「ちゃんと想定通り動く」という意味になります。
ある場所から別の場所への移動というコアのイメージはほぼありませんが、「自分の手から離れて、役に立つように動いてくれる」というイメージが go に合うのではないでしょうか。
8. 努力や資金などがそそがれる
Much money went for food.
多くのお金が食費に使われた。
- 何が離れるか: Much money
- どこから離れるか: 明示されていない(手の届く範囲)
- どこへ離れるか: 明示されていない(手の届かないところ)
- どのように離れるか: for food
たくさんのお金が、いつの間にか食費として「消え去っていく」イメージです。
自分の手の届くところから離れていく、やはりこれが go のコアイメージですね。
また、この文で「お金が使われた」という意味になっているように、「自動詞は時として受け身っぽい意味になる」ことがあります。
これはどういうことかというと、自動詞の場合は主語自体が動くことを表すのですが、その動きが主語自身ではなく、他の主体による行為の影響を受けて動いたものであるということです。
例えば The door opened というと、ドアが自分で開いたわけではなく「誰かが開いた」とか「風で開いた」など、何かの影響を受けて、主語のドアが開いたという感じです。
まとめ
この記事では go にはたくさんの意味があるということを見てきました。
go は超基本の動詞なので、たくさんの場面で、そして色々な意味で使用されます。
go という単語の意味がよくわからないときは、コアの意味を思い出して、意味の成分を分解して考えてみてはいかがでしょうか。
go のコア
主語が「ある地点や領域からどこか別のところへ離れること」
- ポイント(意味を分解してみよう)
- 何が離れるか(常に主語)
- どこから離れるか(物理的な場所/抽象的な状態)
- どこへ離れるか(物理的な場所/抽象的な状態)
- どのように離れるか(オプション)