辞書的な意味
※Oxford Dictionary of English 2nd Edition を参考にしています。
- 話し手の近くやなじみのある場所に移動する
come into the living room
居間に来る
The police came.
警察が来た。 - 何かが起こる
Spring is coming.
春が来る
A voice came from the living room.
居間から声がした - ある位置や順序、優先度を取る
make sure one’s kids come first
こどもたちが最優先だ
came third among fifty contestants
50人の出場者の中から3位に着いた - ある状態になる
come into contact with him
彼とコンタクトを取る
come to realize that ~
~だとわかる - ある状態で売れる、手に入る
come in three sizes
3サイズある
come in bottles and cans
ビンのやつと缶のやつがある
come のコアの意味
come は通常日本語で「来る」と訳したり覚えたりすることが多いと思いますが、上記のとおり、この単語はたくさんの意味で使われます。
たくさんある意味をよりコンパクトに覚えられるように、ここでは come という言葉のコアを探っていきたいと思います。
ここで言うコアとは、上記にあげたたくさんの意味に共通する「意味の成分」のことです。
私は come のコアはこんな感じではないかと思っています。
come: ある地点や領域に到達する
come は主語が「ある地点や領域に到達すること」を表す動詞(自動詞)と考えます。
「来る」とか「~という状態なる」など、訳としてはたくさんの意味があるとは思いますが「何がどうなったか」という観点から見れば、come が使われているところはすべて「主語があるところに到達する」という関係性を表していると考えられるということです。
さらに分解してこんなふうにしてみます。
- 何が到達するか: 主語
- どこに到達するか: 不明
- どのように到達するか:(オプション)不明
上記で「不明」となっているところは、実際にこの単語が使われる文によって変わってきます。
このことからわかるとおり、come という動詞が定めているのは「主語がどこかに到達する」ということだけで、「どこに」到達するか、「どんなふうに」到達するかは他の語句で修飾されることで明らかになります。
では、この意味を辞書的な意味に当てはめていきましょう。
1. 話し手の近くやなじみのある場所に移動する
He came into the living room.
彼が居間に入ってきた。
- 何が到達するか: 主語=He
- どこに到達するか: into the living room
- どのように到達するか: 明示されていない
これは come のもっとも基本的な使い方です。人が(話し手のそばに)「やって来る」という意味ですが、これは「主語がある地点や領域に到達する」と言い換えられることは明らかですよね。
The police came.
警察が来た。
- 何が到達するか: 主語=The police
- どこに到達するか: 明示されていない
- どのように到達するか: 明示されていない
これは文脈によります。もし物語の中でこの文章があった場合、その「場面に」警察が来た ということになるでしょう。
文脈によってどこに到達したかが明らかな場合は到達点を省略してもよいということがわかります。
2. 何かが起こる
Spring is coming.
春が来る
- 何が到達するか: 主語=Spring
- どこに到達するか: 明示されていない
- どのように到達するか: 明示されていない
これは、春という「時節、季節になる」という意味の come です。
日本語でも「時間が来ちゃった」ということがたまにあると思います。
こういうときは「どこに来たか」なんて言いませんよね。
もうひとつ、注目していただきたいのが is coming という風に進行形になっているというところです。
come という動詞が表す事象が成立するには、ある物がある点に「到達する」必要があります。
come はこんなふうに完了地点が決まっている動詞だと考えられるのですが、こういうタイプの動詞が進行形になっている場合は、その動作が「完了していない」ことを意味します。
そのため、Spring is coming という場合、まだ春にはなっていません。
ですが、「なんだか春の気配がする」という感じだということになると思います。
A voice came from the living room.
リビングから声がした
- 何が到達するか: 主語=A voice
- どこに到達するか: 明示されていない
- どのように到達するか:(from the living)
「なんかリビングの方から声がしたぞ」という感じでしょうか。
Spring もそうですが、come というのは人以外の物事も主語にできるのですね。
その場合には意味をよく考えて単に「来る」と訳さないように注意した方がよさそうです。
この例文は「声が来た」と訳すと、かなり違和感がありますよね。
ただ、意味的には「声がある場所に到達した」ので聞こえてきたということになり、コアの意味を当てはめることができます。
これも到達点が明示されていませんが、普通の会話だとすれば、話し手の方に声が聞こえてきた、物語だとすれば、その場面に声が聞こえてきた、ということになるはずです。
3. ある位置や順序、優先度を取る
I make sure my kids come first.
こどもたちが最優先です。
- 何が到達するか: 主語=my kids
- どこに到達するか: 明示されていない(おそらく “I” の頭の中)
- どのように到達するか: first
今までは物理的に人が「移動したり」、季節が「流れてきたり」、声が「聞こえてきたり」といったように主語の物理的な「動き」のようなものが感じ取れる意味でしたが、ここからは「動き」という意味が薄れていきます。
その代わりに「どのように到達するか」という意味の成分が濃くなっています。
この例は「こどもたちのことを一番に考える」という意味になると思いますが、これもコアの意味に当てはめられます。
こどもたちが「”私”の頭の中」で「最初に」浮かんでくる(=頭の中に到達する)というふうに言えるかなあと思います。
She came third among fifty contestants.
彼女は50人の出場者の中から3位に入賞した。
これも「彼女」が「3番目」に「到達した」と言えますよね。
「どこに到達したか」はちょっと難しいですが、「順位」と考えればいいと思います。
4. ある状態になる
I came into contact with her.
彼女と接触した(知り合いになった、連絡を取った)
- 何が到達するか: 主語=I
- どこに到達するか: into contact with her
- どのように到達するか: 明示されていない
これは「到達点が抽象的な物事」であるケースです。
文脈によって意味は変わってくると思いますが「彼女と何かしらの形で接触する事態」に「到達した」のだと言い換えることができます。
このように到達点が抽象的なものの場合には「~の状態になる」という意味で使われていることが多いです。
5. ある状態で売れる、手に入る
The shirts comes in three sizes.
そのシャツは3サイズある
- 何が到達するか: 主語=The shirts
- どこに到達するか: 明示されていない(手の届く範囲)
- どのように到達するか: in three sizes
これは The shirts is sold in three sizes. と言い換えることができる例文です。
もはや「到達する」という意味なんて無いように思われるかもしれませんが、到達点は「手に取れる、見つけられる範囲」と考えることができます。
「シャツ」が「3サイズ」のバリエーションで提供されていて、そこから選んで「買うことができる、手に入れることができる」という状態です。
そういう意味では「~の状態になる」という意味に近いかなあと思います。
Beer comes in bottles and cans.
ビールがビンと缶で売られている。
これも同じですね。
まとめ
この記事では come にはたくさんの意味があるということを見てきました。
come は超基本の動詞なので、たくさんの場面で、そして色々な意味で使用されます。
come という単語の意味がよくわからないときは、コアの意味を思い出して、意味の成分を分解して考えてみてはいかがでしょうか。
come のコア
主語が「ある地点や領域に到達する」
- ポイント(意味を分解してみよう)
- 何が到達するか(常に主語)
- どこに到達するか(抽象的な物ごとの場合は訳し方に注意)
- どのように到達するか(オプション)